「エンドポイントセキュリティとは何か、従来のアンチウイルスソフトとどう違うのか」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
エンドポイントセキュリティとは、PCやスマートフォンなどの端末を保護するための高度なセキュリティ対策のことです。
従来のアンチウイルスソフトと異なり、AIや機械学習を活用した振る舞い検知により、未知の脅威にも対応できる点が特徴です。
この記事では、エンドポイントセキュリティの基本概念や種類、導入時のポイントについて解説します。
目次
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エンドポイントセキュリティとは
エンドポイントセキュリティとは、PCやスマートフォンなどの端末(エンドポイント)を保護するためのセキュリティ対策のことです。
ネットワークの末端に位置する各デバイスを守ることで、企業全体のセキュリティ体制を強化する重要な役割を担っています。
▼エンドポイントの一例
- PC
- スマートフォン
- タブレット
- サーバー
- プリンター
- ルーター
従来のウイルス対策ソフトよりも高度な保護機能を持ち、クラウド連携や行動分析など最新のテクノロジーを活用した対策を行います。
リモートワークやテレワークが普及し、社内と社外の境界が曖昧になっている現代において、エンドポイントセキュリティは場所にとらわれないセキュリティ対策として注目されています。
アンチウイルスソフトとの違い
アンチウイルスソフトが既知のウイルスパターンを検知する「シグネチャ型」の防御に対し、エンドポイントセキュリティは挙動分析や機械学習による「振る舞い検知」も行います。
シグネチャ型の検知は、あらかじめ登録されたウイルスのパターンと照合する方式ですが、新種のマルウェアには対応できないという弱点があります。
一方、振る舞い検知ではプログラムの動作パターンを分析し、不審な挙動を示すものを検知するため、未知の脅威にも効果的に対応できるのです。
エンドポイントセキュリティが重要視される理由
従来のネットワーク境界に依存した防御モデルでは、現代の複雑な脅威に対応できなくなっています。
ここでは、エンドポイントセキュリティが重要視される主な理由を3つ解説します。
働き方改革の影響
テレワークやBYODの普及により、社外からの業務アクセスが一般化し、従来の境界防御が機能しにくくなっています。
社内ネットワークの外側からシステムにアクセスする機会が増加したことで、従来の境界型セキュリティだけでは十分な保護ができなくなったのです。
特にコロナ禍以降、リモートワークやテレワークが急速に広がりました。
オフィス外でも安全に業務を行うためには、デバイス単位での強固なセキュリティ対策が必須となっています。
サイバー攻撃の高度化
従来の検知手法では対応できない高度な脅威が増加しています。
例えば、未知の脆弱性を突くゼロデイ攻撃や、正規のプロセスを悪用するフィルレス攻撃など、従来型の防御では検知が困難な手法が増えているのです。
IPA(情報処理推進機構)が発表した「情報セキュリティ10大脅威 2025」では、「地政学的リスクに起因するサイバー攻撃」という新しい脅威が7位にランクインしています。
高度化しているサイバー攻撃に対応するためには、エンドポイントセキュリティのような異常検知や行動分析による防御が求められているのです。
ゼロトラストの推進
「信頼しない、常に検証する」というゼロトラストの浸透により、エンドポイントでの厳格な認証と監視が重要視されています。
従来の「境界内は信頼する」という考え方から、新しいセキュリティモデルへの移行が進んでいるのです。
このゼロトラストモデルではネットワークへの接続時だけでなく、常時デバイスの状態を監視・検証することが求められます。
エンドポイントセキュリティの種類
エンドポイントセキュリティは目的や機能により複数の種類に分類されます。
それぞれ特徴や強みが異なるため、組織のセキュリティニーズに応じて適切な種類を選択することが、効果的な防御体制の構築に繋がります。
EPP
EPP(Endpoint Protection Platform)は、マルウェア対策、デバイス制御、データ保護などの基本機能を統合したソリューションです。
主にマルウェアからの防御や既知の脅威への対策など、予防的なセキュリティ対策を中心としています。
シグネチャ型の防御であるため、新種や亜種のマルウェアに対しては高い効果は見込めません。
EDR
EDR(Endpoint Detection and Response)は、高度な脅威検知と迅速なインシデント対応に特化したソリューションです。
EPPが予防に重点を置くのに対し、EDRはインシデント発生後の検知、分析、対応に焦点を当てています。
進行中の攻撃を検出し、その影響を分析して適切な対応を支援する機能を提供します。
NGAV
NGAV(Next Generation Anti-Virus)は、機械学習やAIを活用した次世代のアンチウイルス技術です。
従来型アンチウイルスの限界を克服するため、高度な検知アルゴリズムとクラウドベースの分析を組み合わせています。
ファイルやプロセスの振る舞いを総合的に評価することで、検知精度を高めています。
DLP
DLP(Data Loss Prevention)は、機密情報や個人情報の不正な持ち出しや漏洩を防止するための技術です。
企業の重要データを守るために、データの使用状況を監視したり、セキュリティポリシーに違反する操作を検知・防止したりします。
データを中心としたシステムで、内部不正や過失による情報漏洩リスクを低減します。
エンドポイントセキュリティの対策方法
エンドポイントセキュリティを強化するには、複数の対策を組み合わせた多層防御が効果的です。
ここでは、企業が実施すべき主要な対策方法について解説します。
マルウェア検知
エンドポイントセキュリティの基本となるマルウェア検知は、シグネチャ型と振る舞い検知の2つのアプローチを組み合わせて実現します。
シグネチャ型の検知では、既知のマルウェアのパターン(シグネチャ)と照合することで、高速かつ正確に脅威を特定できます。
しかし、シグネチャ型は新種のマルウェアには対応できません。振る舞い検知も併用し、コードの構造や実行パターンから不審なファイルを検出します。
ハードディスクの暗号化
ハードディスクの暗号化は、デバイスの盗難・紛失時におけるデータ漏洩を防止するための重要な対策です。
エンドポイントセキュリティの観点では、特にテレワークやリモートワークが増加する中、端末内の機密情報を保護するために不可欠となっています。
暗号化されたハードディスクは、正規のユーザー認証なしではデータにアクセスできないため、物理的に端末が奪取されたとしても情報漏洩のリスクを防げます。
ID管理
エンドポイントセキュリティにおけるID管理は、適切なユーザーのみがデバイスやデータにアクセスできるようにするための対策です。
単純なパスワード認証を超え、多要素認証(MFA)の導入が推奨されています。
これにより、パスワードが漏洩した場合でも、生体認証や物理トークンなど別の認証要素が必要となるため、不正アクセスのリスクを大幅に低減できます。
エンドポイントセキュリティを導入する際のポイント
組織のニーズや環境に合った適切なエンドポイントセキュリティを選定することが重要です。
以下、エンドポイントセキュリティを導入する際の重要ポイントを3つ紹介します。
ウイルスの検知方法と精度
AI・機械学習による振る舞い分析や脅威インテリジェンスの活用度を確認しましょう。
多層的な検知アプローチを採用している製品は、さまざまなタイプの脅威に対する防御力が高いといえます。
可能であれば、実環境に近い条件での評価テストや第三者機関によるテスト結果を参考にすることをおすすめします。
サポート体制・アフターフォロー
24時間365日の監視体制や緊急時の対応サポートなど、導入後のバックアップ体制が充実しているかを評価すべきです。
セキュリティインシデント発生時の対応の質は、被害の最小化に直結する重要なポイントとなります。
特に、日本語による技術サポートの有無や対応時間帯、緊急時の連絡方法などを事前に確認しておくことが大切です。
現在の環境との親和性
現在の環境との親和性が低いソリューションを選んでしまうと、他のシステムと共存できず、セキュリティシステムがうまく働かない場合があります。
既存のITインフラやセキュリティ製品との連携性を考慮し、スムーズな統合が可能であるかを検証します。
例えば、現行のアンチウイルス製品との共存性や、SIEMとの連携機能、管理コンソールの使いやすさ、社内リソースとの相性などをチェックしましょう。
エンドポイントセキュリティの効果は、導入後の適切な運用・管理に大きく依存します。
「GMOサイバーセキュリティbyイエラエ」のセキュリティコンサルティング
画像引用元:GMOサイバーセキュリティ byイエラエ
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まとめ
この記事では、エンドポイントセキュリティの基本概念や重要性、対策方法、導入時のポイントについて解説しました。
従来のアンチウイルスソフトとは異なり、AI技術や振る舞い検知を活用した高度な保護機能を備えています。
働き方改革によるテレワーク普及、サイバー攻撃の高度化、ゼロトラストセキュリティの浸透など、さまざまな要因がエンドポイントセキュリティの重要性を高めています。
導入を検討する際は、検知方法と精度、サポート体制、既存環境との親和性など、複数の観点から自社に最適なソリューションを選定することが重要です。
エンドポイントセキュリティの導入・運用でお悩みの方は、「GMOサイバーセキュリティbyイエラエ」へのご相談をぜひご検討ください。
文責:GMOインターネットグループ株式会社