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社内レポート

2012年2月1日(水)

2012年の検索エンジン業界の動向

進むソーシャル・パーソナライズ化と、新アルゴリズムが日本にも?

インターネット業界の旬な話題を定期レポートするGMO最新ネット業界レポート SEO編を担当するのは、GMOインターネットグループのSEO事業を担うGMO TECH株式会社。独自の分析システムを有し日々変わる検索エンジンの動向を徹底分析、全てをロジカルに数値化したWeb戦略を提案する当社は、SEO対策を軸の事業としながら、今後ニーズが高まるスマートフォンにおける集客事業の展開にも力を注いでいます。

GMO TECH株式会社 代表取締役 兼 GMOインターネット株式会社 WEBプロモーション研究室 首席研究員の鈴木に続いて、執筆するのはGMO TECH株式会社SEM事業部マネージャー。SEOのエキスパートから旬な情報をお届けします。

記事INDEX

はじめに

2012年となり、早くも検索エンジン業界では色々と動きがあります。思い返せば、ここ2年ほどは特に大きな変革の年だったと思います。2010年12月には、Yahoo!JAPANの検索システムの裏側がGoogle化し、2011年3月には、英語圏でGoogleの新アルゴリズム「パンダ」のリリース、日本においては近年稀にみるGoogleの大幅な順位変動が複数回発生、さらに6月にはGoogleのソーシャルサービスとなるGoogle+の公開など、本当に激動の2年でした。 今回は新年初のGMO最新ネット業界レポート SEO編ということもあり、個人的に今年の展望を執筆したいと思います。(Googleベースで執筆いたします。)

ますます進む検索エンジンのソーシャル・パーソナライズ化

パーソナライズ検索について、すでにご存知の方も多いと思いますが、ここで一旦整理したいと思います。

(1) パーソナライズ検索とは

パーソナライズ検索とは、どのユーザーに対しても共通の検索結果を返すのではなく、個々のユーザーの趣向や興味、検索場所に合わせて検索結果を提示するというものです。

例えば、Aさんが「ファッション」と検索したときに、女性もののファッションサイトを主に閲覧する傾向にあり、Bさんが同キーワードで検索した場合に、男性物のファッションサイトを閲覧していたとします。 その場合、検索エンジンは、AさんBさんの検索履歴と行動から最適なサイトを判別し、次回以降「ファッション」などの関連キーワードで検索した場合に、それぞれAさんには女性もの、Bさんには男性もののファッション関連の検索結果を提示するようになります。

また、検索場所について言えば、仮にキーワード「ラーメン」で検索した場合に、東京都渋谷区から検索しているユーザーと福岡県福岡市から検索しているユーザーとでは、結果として返される情報が違い、それぞれのエリアに関連したラーメンの情報が検索結果として提示されます。


(2) パーソナライズ検索はどのように実現されているか

個々のユーザーに合わせて検索結果の候補を変えるためには、ユーザーの検索履歴や場所などをGoogle(検索エンジン)が知る必要があります。 そのため、パーソナライズ検索を実現するために、以下の状態でパーソナライズ検索が有効になるようになっています。

一つ目は、Googleアカウントにログインした状態。
二つ目は、IPアドレス
三つ目は、Cookie
上記3つを活用して、パーソナライズ検索が実現されています。


以上、簡単にパーソナライズ検索についてご説明いたしましたが、2012年1月10日、つまり新年早々に米Googleが新たなパーソナライズ検索の一つとして「Search plus Your World」(※)をリリースしました。この「Search plus Your World」とは、昨年6月にリリースされたGoogle+と連携し個々のユーザーの検索結果にGoogle+内で共有された情報や、検索キーワードに関連したおすすめユーザーの情報など、いわゆるソーシャルの情報が検索結果上で提供されるというものです。ただし、本件は米Google(google.com)に限って提供されており、日本では、まだ導入されておりません。

本機能については、個々ユーザーのプライバシーを守るという観点からセキュアな環境が必要であり、Googleアカウントにログインした場合の検索にSSLによる通信環境が必要なため、日本での導入時期は未定と考えられます。(日本においては、本レポートを執筆している1月20日現在google.co.jpにSSLが導入されていません。) しかしながら、近年ソーシャル化が進むにつれ、Twitter、Facebook、flickerなど、ソーシャル関連サービスが台頭しGoogleが無視することができないくらいに、検索などユーザーのWeb上での行動が進化しています。

また、別軸とはなりますが、現状の検索アルゴリズムに加えて、新たな軸をGoogleは検討しており、それがGoogle+1など検索にソーシャルの要素を加える取り組みとなります。

以上により、Googleがこのパーソナライズ検索を全世界に向けて提供することは急務と考えられ、導入されていない日本においても、今年の年末には もしかすると状況が一変しているかもしれません。いずれにせよ、2012年における検索エンジンの要注目ワードは「ソーシャル」と「パーソナライズ」であると考えます。

※2012年1月20日現在、「Search plus Your World」は、日本のIPアドレスからgoogle.comにアクセスした場合、機能の実装が確認できない状態になっています。

Googleアルゴリズムの大幅なアップデートの発表が日本にも?

2011年3月にGoogleが新アルゴリズム「パンダ」を米国でリリースし、次いで英語圏全体に導入しました。本アルゴリズムは、いわゆるサイトの質を判断し、質の低いサイトや信頼性の無いサイトを検索結果から排除するというものです。(本アルゴリズムについては、2011年7月27日の業界レポート(Googleの新アルゴリズム「パンダアップデート」)で詳しく触れていますので、ご参考になってください。)

英語圏では、段階的に調整の上アップデートされており、昨年日本においても発表はないものの、英語圏に歩調を合わせるかの如く、大幅な順位変動が観測されたのは、記憶に新しいところです。本件を踏まえると、2012年にはもしかすると日本でもこの「パンダ」アルゴリズムの実装があるかもしれません。

最後に

今回は、2012年の個人的な展望として、簡単に概要をまとめさせていただきました。2012年は、益々ソーシャルの重要性と、それに合わせたアルゴリズムの実装、 さらには英語圏で実装されているアルゴリズム「パンダ」など、検索業界を盛り上げる話題が豊富なことは事実です。

今年もこの場で、読者の皆様に鮮度の高い情報をお届けできればと考えております。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

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2012.1.20



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