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社内レポート

2011年4月27日(水)

セマンテックWebで広がる検索とSEOの近未来 Vol.2

要となる検索エンジン各社の動向と対応状況

前回から始まった近い将来加速すると考えられるセマンティックWebをテーマに、検索エンジンとSEOの近未来についてGMO SEOテクノロジー株式会社(現 GMO TECH株式会社) 代表取締役社長 兼 GMOインターネット株式会社 WEBプロモーション研究室 首席研究員 鈴木 明人が解説するシリーズの2回目となる今回は、セマンティックWebを実現する上で、要となる検索エンジン各社の動向と対応状況について紹介します。

記事INDEX

はじめに

前回のSEO業界レポートで、セマンティックWebについて執筆いたしました。 ここで、簡単に前回の振り返りをしたいと思います。 まずセマンティックWebとは、1998年にワールド・ワイド・ウェブ(www)の創始者であるTim-Berners Lee(ティム・バーナーズ・リー)によって提唱された概念で、機械がWeb(コンテンツ)情報の意味を扱うようになることで、より優れた情報検索を提供するというものであることをお伝えしました。

そしてセマンティックWebが実現すると、ユーザが求めている情報に今よりももっと簡単にアクセスすることができるようになります。 まるで検索結果に答えがあるかのごとく便利な検索環境が実現します。 しかしながら、このセマンティックWebという概念は、インターネットの世界に完璧に浸透している訳ではありません。 そこで、このセマンティックWebを実現する上で、要となる検索エンジン各社の動向と対応状況について、Vol.2(今回)・Vol.3(次回)と分けてレポートしたいと思います。

検索エンジン各社のセマンティックWebに関連した動向

セマンティックWebに関する各社の対応状況を探る上で、まず検索エンジン各社が、近年どのように動いているのかについて見てみることにしましょう。今回は、各社(Google、Yahoo!、Microsoft bing)の動向について2~3年遡って動向をサマリーにしました。

【Google】
 
2009年 3月 5日:一般検索にブック検索を追加。
一般検索において、書籍や作家名で検索した場合、検索結果に書籍の情報や、作家の発表した書籍名が表示される仕様。
 
2009年 3月24日:検索エンジンのアルゴリズムにセマンティック技術を追加。

検索クエリの関連語や概念の理解し、関連検索キーワード(Searches related to:)として表示するようになる。
 
2009年 5月12日:検索において部分的にRDFaをサポートすることを発表構造化データを指定する規格RDFaをサポートすることにより、Webサイトの構造を解析し部分的に検索結果に反映するようになる。(レビューを表示するなど検索結果の情報のリッチ化を実現)
 
2009年 7月16日: Metaweb社を買収。
同社はリアル社会の様々な事象に関する情報をデータベースとして保有しており、同社のデータベース『Freebase』には、位置情報、書籍、映画、レストランなどの情報が格納されている。

【Yahoo!】
 
2008年 3月18日:検索プラットフォーム強化のため、さまざまなセマンティックWeb標準をサポートすることを宣言
 
2008年 5月15日:検索プラットフォーム「Search Monkey」を公開。
「Search Monkey」によって、検索結果に写真や価格、レビュー、動画などを掲載できるようになる。
 
2008年 7月10日:独自の検索サービスを作ることが可能な「Search BOSS」を公開。

「Search BOSS」は、Search Monkeyのテクノロジ取り込んでいるため、構造化データを活用でき、検索結果に様々な情報を含めることができる。
 
2010年10月 1日:米Yahoo!がMicrosoftのBingと提携したしたことに伴い、Search Monkeyのサービスを終了、Search BOSSは有料化で継続。

【Microsoft bing】
 
2007年 2月27日:Medstory社を買収。
同社は医療情報検索の新興企業で、検索クエリに関連した情報別に臨床研究、処置、病状などに分類し絞り込むことが可能な技術を提供している企業。
 
2008年 4月17日:Farecast社を買収。
同社は旅行検索に特化したサービスを提供しており、同サービスは、航空運賃比較や、航空券の価格などを予測するなどのアルゴリズムを搭載している。
 
2008年 7月 1日:Powerset社を買収。
同社は自然言語検索技術を活用し、ユーザの求める情報(答え)を
検索結果上で提供するサービスなどを展開している企業。
 
2009年 6月 1日:旧世代Live Searchに変わり次世代検索エンジンbingをリリース。
 
2009年 6月 8日:旅行検索サービス「bing Travel」をリリース。
同サービスは、ユーザが航空券の購入や宿泊施設の選定をするに際し、意思決定をサポートするサービス。

動向から見える検索エンジンの想い

今回はセマンティックWebに関する検索エンジン各社の近年の動向をサマリーにしてきましたが、ここ数年における各社の動向を切り取っただけでも、急ピッチで対応を急いでいる点についてご確認いただけるかと思います。 またGoogleやMicrosoft(bing)は、セマンティックWebへの対応を急ぐうえで、他企業の買収にも積極的です。 もちろん買収の目的は、それら企業の技術を利用・応用して、普段私たちが何気なく利用しているサービスに上手く融合し、セマンティックWebへの開発スピードを速める点にあります。

残念ながらYahoo!においては、bing(日本においてはGoogle)と提携したことにより、検索エンジンとしての独自の開発路線は昔ほど開かれている訳ではありませんが、有料のサービスとして「Search BOSS」を継続するなど、独自の路線で進んでいくと想定されます。 いずれにしても、検索エンジンは人間が検索する”意図”を理解して、”答え”を提供したいと考えています。

それは今現在主流となっている、文字列から適切な検索結果を返すだけではもはや不十分であることを検索エンジン各社が認識していることを意味し、また検索エンジンを利用することがもはや日常となっている私たちにとっても、満足度のレベル(ハードルを上げている)がより高くなっていることの表れでもあります。

Googleという名の検索エンジンが現れてから10年以上が経過した今、昔満足できていたレベルでも、今は不満足というレベルになっているという事実があります。 そのため検索エンジン各社はより、サービスをよりユーザの求める理想・レベルに近づけ自社のシェアの獲得と拡大のために日々切磋琢磨しているといえます。

次回は実際にセマンティックWebが各検索においてどのように実現されているのか対応状況についてレポートします。


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身近なところで実装されているセマンティックWebの事例と動向から見える検索エンジンの想い


2011.4.19



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