イベントレポート
2016年10月26日(水)
インターネット接続の共有(ICS)を利用した仮想マシンのネットワーク接続
Hyper-V上の仮想マシンをインターネット接続する
今回は、お手軽に仮想マシンをインターネットに接続することができる「インターネット接続の共有(ICS)」を利用した方法を紹介します。
記事INDEX
インターネットに接続されたネットワークアダプターを装備したサーバーに、Hyper-Vをインストールして仮想マシン「VM01」を1つ作成した状態です。
ホストサーバーからは問題なくインターネットに接続できています。

仮想マシンはまだネットワークには接続していません。
この構成から実際にICSの設定を行っていきます。

[Hyper-Vマネージャー]-[仮想スイッチマネージャー]から仮想スイッチを作成します。ホストサーバーのネットワークを利用してICSで接続するためには、「内部」仮想スイッチを作成する必要があります。

仮想スイッチ名を「ICSNet」として、[内部ネットワーク]が選択されていることを確認して作成します。

仮想スイッチを作成すると、ホストサーバーに仮想ネットワークアダプターが追加されます。

[イーサネット]を右クリックしてプロパティーを表示します。

[イーサネットのプロパティー]-[共有]タブを選択します。
[インターネット接続の共有]のすべてのチェックボックスを選択します。
※複数のネットワークアダプターがある場合は、選択のためのドロップダウンが追加で表示されます。

仮想マシン「VM01」の設定で、ネットワークアダプターに接続する仮想スイッチに、作成した「ICSNet」を指定します。

ネットワークが接続されたところで、仮想マシン「VM01」のネットワーク構成を確認します。
DHCPの設定で自動的にIPアドレスの設定が割り当てられています。ICSの設定では、自動的に接続された仮想マシンはDHCPからIPの接続情報を取得する設定となります。

ネットワークもきちんとつながっています。

ホストサーバー側の仮想ネットワークアダプターの設定を確認します。

自動的にIP「192.168.137.1」のアドレスが割り当てられています。ICSでネットワーク接続された仮想マシンは、DHCPサーバーとして「192.168.137.1」、DNSサーバーとして「192.168.137.1」、デフォルトゲートウェイとしても「192.168.137.1」が自動的に割当てれられます。
「192.168.137.0./24」のIPアドレスはICSの既定値となっています。

仮想マシンからインターネットへの接続は以上の設定で完了となりますが、外部からの仮想マシン接続についてはサービスごとに設定が必要となります。例として、外部からリモートデスクトップでICSに接続されている仮想マシンへ、リモートデスクトップで接続するための設定方法を紹介します。
※スクリーンショットはWindows Server 2016 Technical Preview 5(TP5) の画面となっていますが、TP5時点では、ICSのポートフォワードの機能には問題があるため利用できません。Windows Server 2012 R2では同様の機能は問題なく利用することができます。

ホストサーバーの[イーサネット]のプロパティーを開きます。

[イーサネットのプロパティー]-[共有]の[設定]を選択します。

[追加]ボタンを選択します。[リモートデスクトップ]の選択肢がありますが、この設定はホストサーバーへの接続設定となります。

[サービスの名前]として「RDVM01」
[IPアドレス]には仮想マシンに割当てられたIPアドレス「192.168.137.40」
[このサービスの外部ポート番号]は未使用のポート番号として「3390」
[このサービスの内部ポート番号]は仮想マシンのリモートデスクトップのポート番号の「3389」を指定します。

設定が追加されました。

仮想マシン「VM01」のリモートデスクトップを有効にします。

設定が完了したところで実際に接続をしてみます。他のPCからリモートデスクトップ接続を起動します。ポイントとしては、先ほど指定した「3390」のポート番号をコンピューター名の後に「:」を付けて指定するところです。
[コンピューター名]に「IPアドレス:3390」と入力。
ユーザー名を指定して接続します。

リモートデスクトップで仮想マシンVM01に接続できました。
ICSはこのようにポートフォワードの機能も実装しているので、Webサイトを公開したりすることもできるようになっています。
以上、ご覧いただいたように、[インターネット接続の共有(ICS)]はとても簡単な設定で仮想マシンをインターネットに接続することができる機能です。Windowsサーバーだけでなく、Windows10などのクライントHyper-Vでも同様の設定が利用できますので、利用シーンによってはリソースもコストも節約できる優秀な機能です。ぜひお試しください。
GMOインターネット株式会社
1999年6月GMOインターネットに入社。Windows Serverをプラットフォームとしたサービス開発から運用・保守まで幅広く担当。講演登壇や出版、ネット記事連載などでマイクロソフト社と強い信頼関係を構築。2007年より「マイクロソフトMVPアワード」を受賞し、インターネットソリューションのスペシャリストとして活躍。
初めてのWindows Azure Pack本が発売
Windows Azure Pack プライベートクラウド構築ガイド
GMOインターネット株式会社 樋口 勝一 著
詳細はこちら