インターネット接続の共有(ICS)を利用した仮想マシンのネットワーク接続

Hyper-V上の仮想マシンをインターネット接続する

Hyper-V上の仮想マシンをインターネット接続する場合、いくつかの方法が考えられます。仮想マシン自体にグローバルIPを割り振る方法や、Hyper-V自体にリモートアクセスの役割を追加する方法、ゲートウェイとして専用の仮想マシンを用意して接続する方法などがあります。

今回は、お手軽に仮想マシンをインターネットに接続することができる「インターネット接続の共有(ICS)」を利用した方法を紹介します。

基本的な構成

インターネットに接続されたネットワークアダプターを装備したサーバーに、Hyper-Vをインストールして仮想マシン「VM01」を1つ作成した状態です。
ホストサーバーからは問題なくインターネットに接続できています。

仮想マシンはまだネットワークには接続していません。
この構成から実際にICSの設定を行っていきます。

仮想スイッチの作成

[Hyper-Vマネージャー]-[仮想スイッチマネージャー]から仮想スイッチを作成します。ホストサーバーのネットワークを利用してICSで接続するためには、「内部」仮想スイッチを作成する必要があります。

仮想スイッチ名を「ICSNet」として、[内部ネットワーク]が選択されていることを確認して作成します。

仮想スイッチを作成すると、ホストサーバーに仮想ネットワークアダプターが追加されます。

インターネット接続の共有(ICS)の設定

[イーサネット]を右クリックしてプロパティーを表示します。

[イーサネットのプロパティー]-[共有]タブを選択します。
[インターネット接続の共有]のすべてのチェックボックスを選択します。
※複数のネットワークアダプターがある場合は、選択のためのドロップダウンが追加で表示されます。

仮想マシン「VM01」の設定で、ネットワークアダプターに接続する仮想スイッチに、作成した「ICSNet」を指定します。

ネットワークの確認

ネットワークが接続されたところで、仮想マシン「VM01」のネットワーク構成を確認します。
DHCPの設定で自動的にIPアドレスの設定が割り当てられています。ICSの設定では、自動的に接続された仮想マシンはDHCPからIPの接続情報を取得する設定となります。

ネットワークもきちんとつながっています。

ホストサーバー側の仮想ネットワークアダプターの設定を確認します。

自動的にIP「192.168.137.1」のアドレスが割り当てられています。ICSでネットワーク接続された仮想マシンは、DHCPサーバーとして「192.168.137.1」、DNSサーバーとして「192.168.137.1」、デフォルトゲートウェイとしても「192.168.137.1」が自動的に割当てれられます。
「192.168.137.0./24」のIPアドレスはICSの既定値となっています。

リモートデスクトップ接続の設定

仮想マシンからインターネットへの接続は以上の設定で完了となりますが、外部からの仮想マシン接続についてはサービスごとに設定が必要となります。例として、外部からリモートデスクトップでICSに接続されている仮想マシンへ、リモートデスクトップで接続するための設定方法を紹介します。
※スクリーンショットはWindows Server 2016 Technical Preview 5(TP5) の画面となっていますが、TP5時点では、ICSのポートフォワードの機能には問題があるため利用できません。Windows Server 2012 R2では同様の機能は問題なく利用することができます。

ホストサーバーの[イーサネット]のプロパティーを開きます。

[イーサネットのプロパティー]-[共有]の[設定]を選択します。

[追加]ボタンを選択します。[リモートデスクトップ]の選択肢がありますが、この設定はホストサーバーへの接続設定となります。

[サービスの名前]として「RDVM01」
[IPアドレス]には仮想マシンに割当てられたIPアドレス「192.168.137.40」
[このサービスの外部ポート番号]は未使用のポート番号として「3390」
[このサービスの内部ポート番号]は仮想マシンのリモートデスクトップのポート番号の「3389」を指定します。

設定が追加されました。

仮想マシン「VM01」のリモートデスクトップを有効にします。

設定が完了したところで実際に接続をしてみます。他のPCからリモートデスクトップ接続を起動します。ポイントとしては、先ほど指定した「3390」のポート番号をコンピューター名の後に「:」を付けて指定するところです。

[コンピューター名]に「IPアドレス:3390」と入力。
ユーザー名を指定して接続します。

リモートデスクトップで仮想マシンVM01に接続できました。
ICSはこのようにポートフォワードの機能も実装しているので、Webサイトを公開したりすることもできるようになっています。



以上、ご覧いただいたように、[インターネット接続の共有(ICS)]はとても簡単な設定で仮想マシンをインターネットに接続することができる機能です。Windowsサーバーだけでなく、Windows10などのクライントHyper-Vでも同様の設定が利用できますので、利用シーンによってはリソースもコストも節約できる優秀な機能です。ぜひお試しください。

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ブログの著者欄

樋口 勝一

GMOインターネットグループ株式会社

1999年6月GMOインターネットグループ株式会社に入社。Windows Serverをプラットフォームとしたサービス開発から運用・保守まで幅広く担当。講演登壇や出版、ネット記事連載などでマイクロソフト社と強い信頼関係を構築。「マイクロソフトMVPアワード」を15度受賞し、インターネットソリューションのスペシャリストとして活躍。

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