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2011年3月9日(水)公開

第42回

マイクロソフトMVP 5年連続受賞者が語る

GMOインターネット×マイクロソフト社の技術提携のこれまでとこれから

今回からスタートするネット業界レポートの新シリーズ「ソリューション編」。第1回目は本シリーズ執筆者である、GMOインターネット株式会社 事業本部 樋口 勝一氏のプロフィールを紹介する。同氏は、マイクロソフト社の技術を活用してホスティングサービス、グループウェア、サーバー仮想化技術を使ったクラウドサービスなど、GMOインターネットのさまざまな事業の立ち上げにかかわり、テクニカルにおいてめざましい活躍を見せる人を表彰する「マイクロソフトMVPアワード」5年連続受賞という高い評価を受けているエンジニアだ。そんな樋口氏にGMOインターネットとマイクロソフト社との技術提携の過去・現在・未来について語っていただいた。

記事INDEX

日本初のWindowsを使ったホスティング事業立ち上げにたった1人で取り組む

私がGMOインターネット株式会社(当時は旧社名:インターキュー株式会社)に入社したのは1999年6月のこと。日本でインターネットがブームになっていた頃で、IT業界全体に高揚感が感じられる時代でした。当時、同社では日本初のWindowsを使ったホスティング事業の立ち上げを進めており、その担当エンジニアを募集していることを知りました。まだWindowsベースのサーバーシステムの構築は難しいと思われていた時代でしたが、“誰も手がけていないモノをつくってみたい”と持ち前のエンジニア魂に火がつき、4度の面接を受けて入社しました。

当時は、会社も社員数50人程度で、たった1人でプロジェクトをスタートさせたのを覚えています。何十台ものサーバーマシンのセットアップやラッキングなどの実務、SIベンダーとの折衝を引き受けてサービスリリースにこぎつけ、運用・保守まですべて1人で対応していました。日本初のサービスでしたのでノウハウの蓄積も全くなく、すべてが手探り状態。通信回線はナローバンドで途切れやすく、ウイルス攻撃も増えるなどトラブルも多いため、365日24時間サポート体制のもとで、休日や海外出張時でさえも携帯電話に連絡が来て対応していました。私自身も、ウェブやメールのしくみについて勉強しながら実践していくという状況で、エンジニアとしても相当鍛えられたと思います。

日本マイクロソフトと共同出資して、新会社「株式会社お名前ドットコム」を設立

このプロジェクトを通じてマイクロソフトとの信頼関係は深まり、入社2年目の2000年にはマイクロソフトとGMOインターネットが共同出資して新会社を立ち上げるという大きな話が舞い込んできました。それが、現在は国内最大のドメイン登録を誇る『お名前.com』のホスティングサービスを担当する事業です。マイクロソフトの全面協力により、Windowsユーザー向け「Microsoft Exchange Server」を使った日本初のホスティングサービスの提供を開始したのですが、その立ち上げでPM(プロジェクトマネージャー)として開発をリードしました。

※1. 2004年12月、株式会社お名前ドットコムは、GMOホスティングアンドテクノロジーズ株式会社(現GMOホスティング&セキュリティ株式会社)と合併

さらに、2001年には、マイクロソフト社と技術提携して「Xteam」というグループウェアサービスを開発しました。この時は、GMOインターネットと日本マイクロソフトの代表が共同記者会見を開くなど大々的なサービスリリースが行われたことを覚えています。この「Xteam」は現在もバージョンアップを重ねて継続している息の長いサービスになっています。

仮想化技術の活用などが高く評価され、マイクロソフトMVPアワードを5年連続受賞

その後、私はシステム本部から社長室、さらに事業本部に異動になり、引き続きWindows系のサービスの運用・保守には対応していたものの、Windowsをプラットフォームとした新サービスの開発研究、マイクロソフトコミュニティーにおいてのフィードバックが主な業務になっていました。

また、Yahoo!JAPANやGoogleの台頭もあり、ここ数年はGMOインターネットとマイクロソフト社との関係も低調になっていました。ですが、近年のホスティングプラットフォームの仮想化への移行、「クラウド化」にともない、マイクロソフトも仮想化技術に注力することとなり、当然のこととしてマイクロソフト製品の仮想化プラットフォームをベースとしたホスティングサービスを展開することとなり2010年に「お名前.comWindowsデスクトップ」サービスをリリースしました。

マイクロソフトの仮想化プラットフォーム「Hyper-V」をベースとした仮想デスクトップサービスで、クラウド上に配置したユーザーのWindowsデスクトップにリモートデスクトップで接続してご利用いただくサービスです。 特に、株式自動売買ソフトを24時間稼動し続けるユーザーの方々に絶大な人気を誇るサービスとなっています。このシステム開発では、今後日本でも予想される仮想化技術の普及を見越して、1人で地道に1年くらいかけて開発したプログラムをライブラリとして蓄積していたおかげで、わずか3カ月でサービスリリースが可能になりました。

これらWindowsをベースとしたホスティングサービスの提供が評価され、「マイクロソフトMVPアワード」を5年連続で受賞することができました。 これはマイクロソフトの製品やテクノロジーに関する知識と経験を評価され、過去1年間におけるオンラインまたはオフラインの活動を表彰するものです。 最初の2年間はホスティングを主題とし、ここ3年間は仮想化を主題とした受賞となっています。 まだまだホスティング、仮想化分野では日本人の受賞者が少ないのが実状ですが、その少ない受賞者の一人として選ばれた事を大変光栄に思っています。

「クラウド化」が進むなか、マイクロソフト社との関係はますます重要に

業界の牽引役を担うGMOインターネットとしては、これまでのウェブ、メールだけを提供するホスティングだけではなく、仮想化サーバー(VPS)、仮想化デスクトップ(DaaS)の分野へと積極的に進出しています。

また、インターネット技術の進化、アプリ提供サービスの低価格化などを背景に普及拡大が進む「クラウド・コンピューティング」では、ユーザーにとって最も身近なWindowsOSを活用したいというニーズが高いと推測します。ですから、今後GMOインターネットとマイクロソフト社との関係はますます重要になっていくと考えています。

今後のレポートでは、日本国内で情報が不足している仮想化技術について展開予定

今後の本レポートでは、これまでマイクロソフト社との技術提携で培ってきた大規模ホスティング、仮想化技術の知識とノウハウをベースに進めてゆきたいと考えています。 仮想化とは?クラウドとは? マイクロソフト製品を元に技術・情報を織り交ぜてこれからという方にもお伝えできればと思います。









*マイクロソフトMVP (Most Valuable Professional) アワードは、マイクロソフトの製品やテクノロジーに関する豊富な知識と経験を持ち、その優れた能力を幅広いユーザーと共有している個人を表彰するものです。表彰は全世界で行われており、世界 90 か国以上、4,000 名を超える方々が表彰されている。


  ⇒  マイクロソフトMVP アワードプログラム



2011.02.10


取材協力:GMOクリエイターズネットワーク株式会社


*本文中に記載されている会社名および商品名・サービス名は、各社の商標 または登録商標です。

樋口 勝一

GMOインターネット株式会社

1999年6月GMOインターネットに入社。Windowsを用いたホスティング事業の立ち上げの際、サービス開発からその後の保守・運用まで1人で担当。2010年には「お名前.comWindowsデスクトップ」をリリースし、マイクロソフト社と強い信頼関係を構築。2007年から連続で「マイクロソフトMVPアワード」を受賞し、Windowsのスペシャリストとして活躍。

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