TechReport

技術者情報

マーケティング

2009年11月25日(水)公開

第1回

空気のメディアTwitter

マーケティングリサーチ会社が見るTwitterの特性

ジャパン マーケット インテリジェンス株式会社(以下、JMI)は、GMOインターネットグループでリサーチ事業を展開するGMOリサーチ株式会社の連結子会社。同社は「視覚行動分 析」を利用し、一風変わった、しかし実際の人の行動を正確に追った、実にリアルなマーケティング リサーチを行う。

この連載では、日本でもブレイク中のTwitterを、JMIの得意とする「視覚行動分析」で掘り下げていく。初回は、JMIが取り組む視覚行動分析、メディアの特性から予測されるTwitterの特徴、「アイトラッキング(視覚行動分析装置)」での計測結果を紹介。

記事INDEX

視覚行動分析とは?

アイトラッカー(視覚行動分析装置)


を利用した利用例


アイトラッキング視線追跡分析


を表現したイメージ

視覚行動分析は、「目が何を見ているのか」を追跡して、分析する技術です。

JMIでは、この視覚行動分析を「アイトラッキング」という装置を利用して行っており、この「アイトラッキング」を武器に、実店舗を中心としたマーケティング リサーチのノウハウを蓄えてきました。私たちは、「消費者の視点でビジネスを見直す会社」として、顧客の消費行動と、企業の販売行動(マーケティング活動)の間にある「ギャップ」を縮めるコンサルティングを行っています。

今回のTwitterの調査は、この「アイトラッキング」を用いた視覚行動分析を行いました。複数人の一般被験者をモニ ターの前に座らせ、普段と変わらずにパソコンを操作してもらいます。すると、モニター下部に取り付けられた赤外線センサーが目の動きを追跡し、ユーザーが何を見ているのか、その対象を何秒見たのかを記録します。


空気のメディア Twitter

Flash、Ajax、Silverlight、HTML5.0などの技術の台頭、YouTube、ニコニコ動画などの動画サイトの普及など、この数年、インターネットの流れはリッチ コンテンツ化に向かっています。その中で、Twitterは彗星のごとく現れました。Twitterのサービス開始は2006年。アメリカでのブレイクは 去年で、日本では今年の春ぐらいから爆発的にユーザーが増えています。Twitterは現在、世界で1億人以上のユーザーを有する一大メディアにまで成長しました。

このTwitterは、掲示板やブログと同じように、CGM(Consumer Generated Media)というカテゴリーに入ります。しかし、Twitterには、これまでのCGMには見られなかった大きな特徴があります。それは「140字」という文字数の制限です。Twitterは、リッチコンテンツ化する世の中の流れの逆を行き、ユーザーの発言量を制限することで成功を収めました。

このTwitterは、これまでの掲示板やブログと何が異なっていたのでしょうか?「140字」という文字数の制限が、いったい何を生み出したのでしょうか?アイトラッキングによる実験に入る前に、Twitterがメディアとして持つ、大きな特徴を3つ挙げておこうと思います。

  • 結論を書けないメディア
  • 空気を共有するメディア
  • 読まれる前提ではない、でも読まれたいメディア
結論を書けないメディア

Twitterの最大の特徴は、文字数の制限により「言いたいことが言えないこと」「結論を書けないこと」にあります。Twitterでは、その「短さ」のために、「情報提供をして終わり」「自分の意見を表明して終わり」といったことしかできません。

Twitterでは、その「結論を書けない」ことで、ユーザーの書き込みのハードルが下がりました。そして、「結論を書かなくてよい」ことで、気軽に書き込めるようになりました。

掲示板、ブログと、世にあるCGMは、1ページで説得力のある「重量級の文章」が要求されます。Twitterは、その流れを断ち切り、「つぶやき」しかできないツールを提供しました。そのことが、Twitterの独自性、そしてTwitterらしいコミュニケーションを作り出しました。

空気を共有するメディア

では、「結論を書けない」ことが、どういった世界を作り出したのでしょうか?掲示板やブログといった、これまでのCGMは、議論をして、結論を出す場所として活用されていました。しかし、Twitterは、一回の投稿で結論を導き出せません。そして、ゆるい繋がりのために、議論には向きません。

Twitterは「議論の場」ではなく、「感覚の共有の場」と言えます。キーワードを中心にした感覚や感情の表出。レスや、RT(ReTweet:引用)。そういった「場の空気の共有」。それがTwitterというツールを通して提供される世界となります。

読まれる前提ではない、でも読まれたいメディア

読まれる前提ではない。でも、読まれたい──。Twitterの面白さは、この感情にあります。Twitterを利用するユーザーは、単なる「つぶやき」の羅列でありながら、「他人に見てもらいたい」「反応をもらいたい」という欲求を持っています。

この、ユーザーのTwitterに対する感情は、職場のモニターに貼ってある、大きな文字で書いたポストイット(付箋)に近いものです。例えば 「トヨタF1撤退。残念」と書いた付箋があるとします。その人の机の前を通った人が「あっ、君もF1を見るの?」と、話が弾めばラッキーです。そういった「期待はしていないけど、反応してくれると嬉しい」という「認知への欲求」が、Twitterが作り出す世界の根底にあります。

こういったことから、Twitterユーザーは「話題として盛り上がる何か」があれば「その話題を共有する」という姿勢を持っています。そういっ た「話題の共有の場」の機能に、企業が注目して「メディアとしての可能性」を模索しています。それが、現在のTwitterを取り巻く、企業ユーザーの現状となります。

アイトラッキングでTwitterを「視る」!

アイトラッキング(ヒートマップ)


調査結果イメージ



調査結果のとおり、上部の大きい文字


の箇所がよく見られている



調査協力サイト:


勝間和代氏 公式Twitter


http://twitter.com/kazuyo_k

それでは、いよいよ「アイトラッキング」を使って、Twitterがどのようにユーザーに見られているのかを探ります。

「アイトラッキング」では、ユーザーの「注目場所」は、サーモグラフィのようなヒートマップを使って可視化されます。ヒートマップでは、赤色が最もよく見られていた場所を表し、黄色、緑色となるにつれ、注目度は低下します。

このヒート マップを見れば、ウェブページを見ているユーザーが、どのように情報を見ているのかが一目で分かります。

今回の実験では、実際のTwitterのページを利用して、ユーザーの視覚行動を記録しました。実験に協力してくれたのは20名。実際に視覚行動分析を行う場合、通常は被験者を30人以上用意しますが、今回は簡易な実験ということで少人数で行いました。20名の内訳は20代の男女各5名、30代の男女各5名です。各被験者の計測時間は20分です。その結果を、Twitterのページ上にマッピングしました。

結果は、画像の通りです。ユーザーがどこに注目しているか、また逆に何を無視しているか、その「興味の温度差」が、グラデーションで表示されてい ます。このヒートマップをもとに、視覚行動解析の手法で、「どういったつぶやきが、Twitterで読まれているのか」を探り、そこから「どうやったら読まれるTwitterの書き方ができるのか」を考察していきます。

後編は、この「視覚行動分析」の実験結果から判明した、「読ませるTwitte 5つの法則」です。





NEXT >ウケるTwitter(後編)
視覚行動分析が解き明かす、読ませるTwitter5つの法則



2009.11.25


取材協力:GMOクリエイターズネットワーク株式会社



*本文中に記載されている会社名および商品名・サービス名は、各社の商標 または登録商標です。

GMOリサーチ

GMOリサーチ株式会社

GMOリサーチは、先進的なネットリサーチで日本とアジアのマーケティングプロセスに新しい価値を提供する会社です。 自社メディア「infoQ」を​含む​アジアの13ヶ国・地域​を繋いだ​​アジア最大級のクラウド​​型​消費者​パネル「ASIA Cloud Panel」を保有。 調査会社・シンクタンク・コンサルティング企業など調査のプロに​向け、ネットを活用した調査・集計・分析サービスと調査サンプルを柔軟に提供しています。

執筆者一覧