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社内レポート

2013年11月20日(水)

ハミングバード導入とSSL検索拡大から考える今後のSEO

ハミングバードと(not provided)増加から考えられるこれからのSEO

インターネット業界の旬な話題を定期レポートするGMO最新ネット業界レポート SEO編を担当するのは、GMOインターネットグループのSEO事業を担うGMO TECH株式会社。独自の分析システムを有し日々変わる検索エンジンの動向を徹底分析、全てをロジカルに数値化したWeb戦略を提案する同社はSEO対策 を事業軸としながら、今後ニーズが高まるスマートフォンにおける集客事業の展開にも力を注いでいます。

そんなGMO TECH株式会社のSEOのエキスパートから旬な情報をお届けします。

記事INDEX

はじめに

Googleは9月末に「Hummingbird(ハミングバード)」と呼ばれる新しい検索アルゴリズムを導入したことを発表しました。また、同じく今年の9月以降、それまではGoogleアカウントにログインした状態での検索に適用されていたSSL暗号化が、ログインしていない状態での検索にも拡大されました。この2つの出来事は直接的には関係のないことですが、場合によってはそれまでのSEOの手法や、取り組む上での姿勢の根本的な見直しを強いるものになる可能性もあります。

今回は2つの出来事とその影響、そして今後のSEOについてまとめてみたいと思います。

ハミングバードとその影響

ハミングバードについて、Search Engine Landでは自動車の古いエンジンを新しいエンジンに交換したという例えでこのアルゴリズムが説明されています。エンジンは自動車の心臓です。Googleのアルゴリズムにはページランクをはじめとした200以上のシグナルがありますが、ハミングバードはそのパーツを十分に機能させるための心臓であると言えます。但し、エンジンを交換したとはいえ、ペンギンアップデートやパンダアップデートのように古いエンジンでも有効であったパーツは継続して利用されています。

ハミングバードは、この発表の約1ヶ月前からすでに導入されていましたが、弊社での観測においても大きな順位の変動は見られませんでした。もっともエンジンは動力、原動機の役割を持つものですから、ある特定の機能にフォーカスするものではありませんので、それは当然とも言えます。とはいえ、エンジンを交換しても大きな変化がなかったということは、古いエンジンも大変メンテナンスが行き届いたものであったということが言えるでしょう。

それはともかく、この新しいアルゴリズムの特徴の一つとして、会話型検索の処理能力の向上が紹介されました。モバイル端末からの自然文による音声検索への対応を強化したものと考えられますが、その強化のカギとなったのは「言葉の意味を理解する」能力の向上です。従来の検索エンジンでは、自然文の中にある特定のキーワードに着目して、そのキーワードに関連性のある検索結果を表示していましたが、ハミングバードでは検索キーワードに含まれている文字列がページ内に記述されていなくても、全体的な意味を理解して、それに関連性の高いページを表示できるようになりました。

なお、Googleは言葉の意味を理解する能力を以前より高いレベルで持っていました。本レポートでも2011年に「機械がキーワードの意味を理解し、より高度な情報整理を可能とする」というセマンティックWebについて3回に渡りレポートしておりますので改めてお読み頂ければと思います。

【第43回】セマンティックWebで広がる検索とSEOの近未来-Vol.1-
【第47回】セマンティックWebで広がる検索とSEOの近未来-Vol.2-
【第52回】セマンティックWebで広がる検索とSEOの近未来-Vol.3-

2012年12月には、このセマンティックWebに関連してナレッジグラフという技術を導入し、検索結果の右側にサマリーや関連情報が表示されるようになりましたが、今回のハミングバードはこの技術をインターネット上に存在するさまざまなページに適用したものになります。

SSL検索とその影響

一方、SSL検索は検索結果ページに含まれる情報を暗号化するもので、2012年3月にGoogleアカウントにログインした状態での検索に適用され、前述の通り今年の9月以降はログイン状態に関わらず適用されるようになりました。

まだすべての環境でSSL検索は適用されているわけではありませんが、将来100%適用される日が来るかもしれません。検索結果ページに含まれる情報を暗号化しますので、アクセス解析によってGoogleからの流入に使用されたキーワードを取得することができなくなります。SSL検索で使用されたキーワードはGoogleアナリティクスでは(not provided)として表示されます。(ウェブマスターツールの検索クエリのデータもありますが、現段階では目安にする程度の情報にすぎません。)

ハミングバードと(not provided)増加から考えられるこれからのSEO

このハミングバード導入とSSL検索の拡大によって見直しが必要になるSEOは、特定のキーワードをターゲットにして行うSEOです。検索順位だけに着目してSEOを行う場合は、見直しの必要はないかもしれませんが、企業サイトでSEOを行う場合に目標としているのは多くの場合はコンバージョンでしょう。限りある予算を投じて行った施策の効果をSSL検索によって検証できなくなるのは問題です。難易度が高いキーワードに多大な費用と時間を費やしてしまったり、容易に上位表示できても全く売上に結びつかなかったりという問題を把握し、改善することができなくなってしまいます。

一方、ハミングバードは検索キーワードの背後にある意味を理解するようになるものですので、良質なコンテンツを豊富に提供しているサイトにとっては、音声で検索される機会が増加するとともに、より検索結果でサイトが表示されるチャンスが広がることが考えられます。これまでのレポートで繰り返しユーザーの利便性の高いサイトを構築していくことの重要性を訴えてきましたが、ハミングバードの導入によってそのことがサイトにもたらす効果はさらに高まったといえるでしょう。

最後に

ハミングバードの導入とSSL検索の拡大から見えてくることは、今後のSEOではより幅広く検索キーワード市場にアプローチすることが求められるようになるということです。それによって安定的に流入が得られるようになる上、ハミングバードによってページに含まれないキーワードにおいても上位表示されるチャンスが広がりました。そこまでできたサイトなら結果的に難易度が高いキーワードにおいても上位表示される可能性も高まるはずです。特定のキーワードへの対策は十分な効果検証ができず、PDCAサイクルを回すことができないという大きな問題を抱えることになってしまいましたので、そのような対策を行ってきた方はこの機会にSEO施策の方法・考え方を見直してみてはいかがでしょうか。

今後も読者の皆様の役に立つ情報をお届けして参ります。




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