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GMO最新ネット業界レポート

第24回 マーケティング編(中編)

今回、2回目となる「中国市場攻略のフレームワーク<中編>」では、これから中国でのビジネス展開を検討している中堅・中小企業に向けて、日本国内に居ながらにして現地の消費者ニーズなどを調べられるインターネット調査の普及状況について、GMOインターネットグループでリサーチ事業を展開するGMOリサーチ株式会社の連結子会社 GMOジャパン マーケット インテリジェンス株式会社 代表取締役社長 加藤崇、
取締役副社長 織戸恒男が語る。※このレポートは、GMOジャパンマーケットインテリジェンス株式会社とGMOリサーチ株式会社の共同研究です。
マーケティングリサーチの中で今ますます注目されるインターネット調査

前回のレポートでは、成長著しい中国市場に進出する場合には、中国の消費者の習慣や嗜好を知ることが最も重要であり、こうした確たる「顧客ニーズの把握」の上に競争戦略を立案するべきであるという話をしました。また、顧客ニーズを把握するためのマーケティングリサーチ手法の中でも、とりわけ低コストででスピーディーにデータ収集可能であるという優位性を備えた「インターネット調査」がこれから中国でも有望になってくるであろうことを紹介しました。今回は、こうした優位性を保持するインターネット調査が現実的に成立する要件について、また、現時点で中国でのインターネット調査はこの要件を満たしているのかについて述べてみたいと思います。

インターネット調査が成立するための、3つの条件とは?

これまで中国では、マーケティングリサーチというと、定性調査を始めとして、会場調査や電話調査、訪問面接調査といった旧来型の定量調査が主に行われてきました。ただ、これらの調査を行うには、日本から現地にスタッフや調査機材を送り込む必要があり、マンパワーとコストがかかるのがネックとされてきました。一方で、日本国内に居ながらにして現地の顧客ニーズを調べられるインターネット調査は、インフラ整備などの問題もあり、数年前までは、まだまだ普及には時間がかかると言われてきました。ところが最近になって、次第にインターネット調査への可能性が開けてきたのは、中国においても以下の3つの条件が満たせるようになったからだと言われています。

    ①.パネル規模-ネットの普及による必要サンプル数の確保-
    ②.国民性-回答者の意識の変化-
    ③.再現性-リサーチの質の確保-
    それでは、これらの3つの条件について説明してみたいと思います。

  • インターネット調査成立の条件1:パネル規模-ネットの普及による必要サンプル数の確保-


  • そもそもパネルとは、インターネット調査に回答で協力してくれるウェブ上の登録会員のことですが、現在の中国では経済成長とインターネットの普及により、中国全土の各省や自治区にわたって、統計に裏打ちされた一定量のサンプル数の基準を満たすパネルを確保できるようになってきており、量的にはインターネット調査が成立する必要条件が整ってきたと言えるでしょう。もちろん、中国におけるインターネット調査のパネル規模は、日本に比べてまだまだ小さいため、成熟した消費社会である日本で行われてい るような相対的に非常に小さなセグメント、すなわちターゲットの性別、年齢層、製品使用頻度などを絞り込んだ「出現率の低い」ユーザー調査までには対応できません。

    ただ、現時点でも中国における製品やサービスに関する一般的な消費実態を把握するという意味では十分なパネル規模は確保されていますので、例えば、ある石鹸メーカーが「自然派タイプの石鹸」を中国で販売する場合、そうしたタイプの製品に対するニーズはあるかどうか、そもそもそうしたマーケットが存在するかどうかなどのリサーチはできるようになってきました。

  • インターネット調査成立の条件2:国民性-回答者の意識の変化-


  • マーケットリサーチでの基礎となるパネル規模が整ってきら、次は調査に対する回答内容についても目を向ける必要があります。

    さて、ここでみなさんにクイズです。今から約10年前、当社が、中国現地に赴いて、ある化粧品に関するアンケート調査を行ったときのことです。化粧品の使用感に関する質問票に対する回答項目として用意されたのは、以下

    ①.大変よい
    ②.まあまあよい
    ③.どちらとも言えない
    ④.あまりよくない
    ⑤.全然よくない
    という5段階だったのですが、現地の回答者はどのように答えたと思いますか?

    答は、
    すべての回答者が「③.どちらとも言えない」に丸をつけた

    です。このように当時の中国では、社会主義体制のもとで、個人の思想や意見は統制され、生活必需品は配給されるという時代が続いてきたため、こうした結果になったのだと思いますが、これでは顧客ニーズの把握や評価はできませんから、その後の調査では「③.どちらとも言えない」の選択肢を外して、調査を続けたことを思い出します。ちょっと極端な例を挙げましたが、そもそもマーケティングリサーチというものは、個人が意見を持って自由に発言できるという西欧民主的な風土や個人のニーズがないと成立しないことがこのことからお分かりいただけるかと思います。

    今日の中国は、政治的には社会主義体制を維持しつつも、市場経済化へのシフトがますます進んで高い経済成長を達成するとともに、巨大なマーケットをにらんだ先進諸国の対中進出が活発化した結果、工場に勤める労働者がストライキを行うことがニュースで報道されるなど、個人が社会に向けて自由に発言・行動するような空気が生まれています。また、中国富裕層を中心として、欧米に留学をして帰国した若年層は、欧米の社会や空気そのものを中国に持ち帰っています。こうした例は、今や中国でも、欧米の民主的な社会と同じようなマーケティングリサーチも可能になっている確かな証拠なのです。

  • インターネット調査成立の条件3:再現性-リサーチの質の確保-


  • 通常、マーケティングリサーチで最も重要なのは「再現性」だと言われています。例えば、ある一定の環境のもとで、ある調査パネルに対して同じ調査手順を二度くり返した時、大きく異なる結果になったとしたら、統計上その調査パネルの信頼が疑われることになるからです。

    そこで、調査パネルの質を保っていくには、ある質問に対する回答傾向が、一定の期間をおいて同じ質問を行った時に異なっていないかを検証する“ぬきうち的な調査”の実施が必要になってきます。こうした「再現性」を重視した検証作業を 通過しているかどうかが、高い品質が保証された調査パネルであることの証明になるのです。

インターネット調査では、調査パネルの「質と量」の見極めが重要

これまで述べてきたように、中国においてインターネット調査の成立条件はかなり整ってきています。これはその低コスト性という性格から、これからは日本国内の大企業だけでなく、中堅・中小企業であっても、インターネット調査を活用することで、中国市場攻略のために必要な顧客ニーズ調査などを実施できるようになることを意味しています。

その際には、特に条件1である調査パネルの規模はもちろんのこと、条件3の再現性確保という、調査パネルの「質」の問題にも留意して、調査に協力してくれるパートナー企業を選ぶことがポイントになってくるでしょう。

次回、「中国市場攻略のフレームワーク<後編>」は、「実践・中国インターネット調査報告」と題して、実際に、GMOリサーチ株式会社が中国パネルを使用して行ったマーケティングリサーチの結果についてレポートします。

2010.8.4
取材協力:GMOクリエイターズネットワーク株式会社


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