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GMO最新ネット業界レポート

第15回 マーケティング編

これまで2回にわたってeコマースサイトで誰もが陥りやすい問題点を紹介するために、「作業管理.com」のウェブサイトを例にコンサルティングを行うレポートを展開。今回、それらの課題解消をめざして新たに作成したウェブサイトではユーザーへの情報到達レベルがどの程度向上できたのか、アイトラッキング調査などの結果について、GMOインターネットグループでリサーチ事業を展開するGMOリサーチ株式会社の連結子会社 ジャパン マーケット インテリジェンス株式会社 代表取締役社長 加藤崇、執行役員副社長 織戸恒男が語る。
※このレポートは、ジャパンマーケットインテリジェンス株式会社とGMOリサーチ株式会社の共同研究です
抽出された課題をもとにウェブサイトのリニューアルを実施
代表取締役社長 加藤崇(右)と執行役員副社長 織戸恒男

代表取締役社長 加藤崇(右)と
執行役員副社長 織戸恒男

前回までの「実践マーケティングROI向上策(前編・後編)」では、事例として取り上げたウェブサイト「作業管理.com」の訴求ポイントやユーザビリティ(使い勝手)上の課題を抽出してきました。 そこで明らかになったのは、このウェブサイトは、価格や製品特徴などの機能面、実績やブランドなどの信用面といった製品の訴求ポイントが前面に出ていないこと。さらに、実際に訪れたユーザーにとってのユーザビリティという点から5つの問題点が想定されるということでした。今回はまず、これらの課題解消をめざしてリニューアルを行った、新しいウェブサイトを紹介したいと思います。

改定点1:訴求ポイント(機能訴求・信用訴求)が前面に出るページに!

この新しいウェブサイトの設計で心がけたのは、 まず、この製品が化粧品やビールといったイメージ先行型ではなく、機能訴求型の製品だということです。そこで、ユーザーになるべくストレスを感じさせずに製品アピールができるように、製品特徴や価格をメインにしたデザイン構成としました。また、トップページの情報を整理して、製品の機能面の各項目を下部にまとめ、ユーザーの視線の移動がスムーズにできる設計とし、さらに、従来のウェブサイトではあまり目立たなかった「全米販売実績No.1ソフト」ほか、数々の賞を受賞しているといった記述をページの中心付近で大きくアピールすることで、信用訴求面も強化しています。

これらのデザインリニューアルを通して、これまで繰り返し述べてきたパーチェスファネル図(マーケティングにおける認知から購買の流れ)における「考慮」や「選好」に結びつくような情報を前面に出すことが可能となり、ユーザーのウェブサイトへの滞留時間を高め、「購買」にうまく導けるのではと考えています。

改定点2:5つのユーザビリティ上の問題を解消可能に!

改修後のトップページ


改修後のリンクページ

従来の「作業管理.com」のウェブサイトでユーザビリティ上の問題として指摘していた5点については、以下のように改定しました。

    1)トップページを1~2ページ分に集約

    16ページ分もあった長いトップページを1~2ページ分に集約。この過程において、抜本的な情報の整理も行いました。

    2)コピーラインの重複を解消し、訴求情報を整理

    上部のコピーラインや製品ロゴの置き方を整理し、コーポレートロゴの段、製品ロゴの段という段組を意識したすっきりとしたレイアウトに再構成しました。また、同じような意味合いのコピーが二重、三重に掲載されていた重複を解消し、メインキャッチを「全米販売実績No.1!! パソコン作業・ログ管理ソフトスタンダード!! 」とし、それにつながるサブキャッチ、リードと商品特徴がすんなりと頭に入るような論理的なコピー展開としました。

    3)ハイパーリンクの反転を排除

    カーソルを走らせた瞬間にボタンの色が変化するなど、ハイパーリンク(指定範囲をクリックすると関連ページへジャンプするしくみ)を想起させるような動きが見られていましたが、ユーザーが混乱を招く可能性があるので、それらの機能は排除する方向で改善しました。

    4)ナビゲーションバーから開くリンクページの不統一感を解消

    ナビゲーションバーをクリックした際に、開くリンクページの反応が異なっていた問題を解消し、レイアウトを統一させることで、ユーザーがより快適に製品情報の読取りができ、ウェブサイトの滞留ができるように考慮しました。

    5)上部にあった相関性の低いバナーを排除

    トップページの一番上にあった企業バナー広告は、「作業管理.com」との相関性がないだけでなく、製品自体の訴求力を阻害する要因となるため排除しました。

リニューアルを通じてパーチェスファネルの「考慮」「選好」部分の強化が可能に!

新ウェブサイトトップページの
アイトラッキング ヒートマップ図


新ウェブサイトリンクページの
アイトラッキング ヒートマップ図

こうしたデザインリニューアルを行った結果、どのような効果が上がったかを実証するために、ユーザーの視線行動を可視化できるアイトラッキングによる調査およびアンケート調査を行いました。その結果は以下です。

    1)アイトラッキングのヒートマップによる効果の実証

    従来の「作業管理.com」のウェブサイトでは、ページの縦スクロールが長かったこともあり、どこを見てよいのか分からず、視線が分散していました。しかし、新しいウェブサイトでは、トップページでもリンクページでも、キャッチフレーズ、製品価格、製品機能などのポイントに視線が集中していて、より理想的な形になったと言えます。

    <新ウェブサイトトップページ>
    アイトラッキングヒートマップ図

    キャッチフレーズ、製品名、ナビゲーションバー、受賞などに視線が集中。

    <新ウェブサイトリンクページ>
    アイトラッキングヒートマップ図

    タイトル、見出し、機能のポイントなどに視線が集中。

    2)事後アンケートによる効果の実証

    被験者による事後アンケートを集計した結果、従来の「作業管理.com」のウェブサイトと比較して以下の成果を上げることができました。

    被験者に認識されたキーワードでは、

  • 「ログ管理」が53%→78%と大幅に向上!

    被験者に認識された機能としては、

  • 「画面スナップショット」12%→44%と約4倍に向上
  • 11個の製品機能についての認識率の平均7%→13%へ向上

    商品価格を覚えている人の割合

  • 47%→55%へ向上

    意見・感想における「サイトが分かりづらい」という発言率

  • 53%→6%と激減!
マーケティングROIを向上させるには、ウェブサイトを作り込むことが重要

最後に、これまでも繰り返し述べてきたように、今の時代に広告やプロモーションの投資収益率を考える「マーケティングROI」を高めるためには、従来のマス広告中心の発想を変える必要があると言えるでしょう。テレビ、新聞、雑誌などのマス広告への投資は「認知」向上には貢献しても、売上向上には直結しないなど、あまり収益効率はよくありません。そこでウェブサイトの充実に今以上に注力し、その内容をしっかりと作り込むことが重要になっています。

ただ、ウェブサイトを作り込むと言っても、漠然としていて、どうしたらよいか分からない人も多いと思いますので、まずは今のウェブサイトについてアイトラッキングなどの専門的な調査を行い、現状把握を行うことが大事です。そうやって浮き彫りになった現状の問題点に従ってリニューアルを実施することにより、マス広告ほど費用をかけずにユーザーを「購買」にスムーズに誘導できるウェブサイトにすることができ、「マーケティングROI」向上を実現できると思われます。現在、eコマースサイトの売上が伸び悩んでいる方は、ぜひご参考にしていただければと思います。

2010.5.12
取材協力:GMOクリエイターズネットワーク株式会社


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